タクシードライバーの喜び

私は東京で事務機器メ-カ-の営業マンを5年近くしていました。
ただ右下がりの業界の中で、勤めていた会社も業績不振に陥り、人員整理の嵐が会社の中に吹き荒れ、給料も下がることが確実になりました。
それで会社の早期退職の応募に応じて退職して愛知県名古屋市に戻ってきました。
前職で身に着けた事務機器の知識を生かせる職場ということで仕事を探しましたが業界的には東京も、名古屋も同じようなものでした。
取り敢えずという形で、大手タクシー会社の応募に手を挙げて、タクシードライバーとして働くことになりました。

車好きだったので、運転するのは全然苦痛ではありませんでした。
一般的な乗用車を運転する際に必要になるのは「普通自動車第一種運転免許」ですが、
タクシードライバーとして働くには「普通自動車第二種運転免許」が必要になります。
だいたい20万円以上費用が必要になりますが、それも会社負担で取りに行けて短い期間で取得することが出来ました。
そして、愛知県内をタクシドライバーとして車で走るようになって、気が付いたことがありました。
まず慣れない仕事であるということで最初は疲れが結構ありましたが、それはすぐに無くなりました。
また地理感は生まれ育ったところなので困ることはありませんでした。
そしてなにより、ほんの短時間ではあっても、タクシーという狭い空間の中でお客さまと同じ時間を共有することがとても楽しいということに気が付いたのです。

さまざまな人との出会いがある

タクシー運転手のやりがいは、大好きな車を運転しながら、いろんなところで様々なお客様を乗せることで、毎日違う出会いがある事だと思います。
同僚のタクシードライバーも、わずかな時間であっても、タクシーという狭い空間の中でお客さまと同じ時間を共有することがとても楽しいという人は非常に多いです。
逆に、これが長時間になると辛くなるのかもしれませんが、短い時間、乗ってこられたお客さんとのやりとりは本当に楽しいと私は感じています。
ちなみに、タクシーはサービス業であるため、お客さまへの思いやりや気遣いは必須です。
そこをきちんと押さえて、心を開いて接すれば必ず自分に返ってくるものがあると感じています。
当然、ただの移動手段としてだけではなく、居心地のいい快適な空間を提供することで、最後にお客さまから「ありがとう」と声をかけられる時もあります。
そして、「次も愛知に来たらこの会社のタクシーに乗りたい」「○○さんを事前に予約できるかなで」とお願いされた時は、とても嬉しい気持ちになります。
その為にはフレンドリーに接するだけではなく、地元の愛知のタクシードライバーだからわかる有用な情報を惜しみなくお客さんに伝えることが大切だと感じています。
お客さんは移動先で予定を終わらせたら、必ず次の場所に移動します。
その際にタクシーを拾いやすい場所や、公共交通機関は何を利用するのが一番いいのか等は非常にありがたい情報になるからです。
タクシードライバーは、さまざまな人と接しながら、自分自身も成長していくことができる仕事といえるでしょう。

地理や土地に詳しくなれるし、働けば働くほど収入がアップする

地元生まれの私でも、愛知は大変広いので、知らない場所や道がたまにあります。
「人間というのは、自分の生活圏でしか動いていないのだなあ」と強く感じることがあります。
タクシードライバーならではの魅力といえるのが、その土地の地理や交通事情などに詳しくなれることです。
プロのタクシードライバーとして仕事をする以上、最低限の愛知のことは現場に出る前に覚えておく必要がありますが、仕事をしながら身につくこともたくさんあります。
これは、貯金みたいなもので、だんだん溜まっていくのが嬉しいものです。
そうして地理感がだんだん上がってくると、地区による得意不得意というのが無くなって、どんなところに行ってほしいといわれても、ナビに頼ることなくさっと行けるようになります。
そうなると仕事の幅が大きく広がり、規定時間以外の枠でも仕事がこなせるようになり、それに伴って収入がアップするようになります。
タクシー業界も働き改革に真剣に取り組んでおり、勤務状況の管理は徹底しているので、時間のある限りお客様を乗り続けるということは、不可能です。
そうした制約の中でも、しっかりと働くことで収入増加は、期待できます。
前職の事務機器メ-カ-の営業マン時代には結果が見えるのに時間がかかりましたし出ないことがありましたので、あの頃とは隔世の感があります。